はじめに
こんにちは、僕はAWS、ヤフー、楽天などを渡り歩いているエンジニアです。
今日は AWSで働くエンジニアの仕事術というタイトルで、
- AWSではどんな人達が働いているのか?
- AWSでの仕事ってどんな感じなのか?
- AWSに転職するにはどうしたら良いのか?
といった事を書いていこうと思います。
ここで言うAWSとは、アマゾン ウェブ サービス ジャパンの事で米国のAWSとは別です。
エンジニアの方でAWSで働く事に興味がある方は、是非ご覧になって行ってください。
AWSで働くエンジニアの仕事について
そもそも、どんな仕事があるの?
AWSのシステムを開発しているのは主に米国のAWSです。では日本のAWSではどんな仕事があるかと言うと。
- プリセールス(ソリューションアーキテクト)
- コンサルタント(プロフェッショナルサービス)
- テクサポ(プレミアムサポート)
- カスタマーサクセス(テクニカルアカウントマネージャ)
- インストラクター(トレーニング)
こんな感じです。カッコ内はAWSでの呼称です。
どんなバックグラウンドのエンジニアが多いの?
大きく分けると以下のパターンが多いと思います。
- 外資系企業で働いていた。
- 日系SIで働いてた。
- 日系開発企業(メガベンチャーなど)で開発をやっていた。
- 新卒で入社
初期の頃から働いているエンジニアやマネージャは1が多いですね。
ソリューションアーキテクトは3が多い印象です。
4が多いのはテクサポですね。
社内研修ってあるの?
あります。
AWSではオンボーディングと言っています。
AWSでは動画でのオンボーディング資料が大量にあり、最初の数週間はその動画を使った学習期間になります。
また、ソリューションアーキテクトやテクニカルアカウントマネージャは客先でのMTGなども多いため、先輩エンジニアに同行して客先に行き経験を積みます。この同行の事をシャドーイングと言います。
またテクサポは同月入社のメンバーでチームを組んで、そのチームで同時に研修を行います。
チームには一人教育担当の先輩がついていて、その教育担当は軍曹と呼ばれています。
研修の最後には、だいたい終了試験があります。終了試験の事をチェックライドと言ったりします。
ソリューションアーキテクトやテクニカルアカウントマネージャは実際の顧客を想定したミーティングのファシリテーションを行い、ちゃんと受け答えできるかテストされます。
リモートワークは可能?
コロナ禍になり、基本はリモートワークです。
このタイミングで首都圏から離れるエンジニアもいるようです。
めったな事がない限りオフィスに行くことはないでしょう。
オフィスはどんな感じ?
目黒に本社があり、現在は品川にも拡張しています。
基本はフリーアドレスですが、部署によっては固定席がある場合もあります。
以前はきれいな社食もありましが、コロナ禍になりなくなりました。
コロナより前から、誰がどこに座ってるとか、上司がどこに座ってるとかまったく気にしない環境で働いていました。
ですので働き方はかなり自由です。
目標設定や評価は?
個別の目標設定や評価はあります。360度評価もあります。
ただしエンジニアは、その評価と昇給は直結していません。
あくまでも重要なのは日々の仕事で、どれだけお客様に貢献できたか?です。
AWSエンジニアの仕事ぶり
エンジニアの仕事内容は、職種によって違います。
ここではそれぞれの職種ごとに、どんな仕事をしているのか紹介していきます。
ソリューションアーキテクト
基本的にはプレセールスなので、営業(AWSではアカウントマネージャと呼ばれている)と協力して、よりAWSを使ってもらうために仕事をします。
担当は企業の大きさや業界ごとに別れています。
例えばベンチャーやスタートアップ担当の場合、たくさんの担当企業がつくことになります。
ベンチャーの場合、中にはAWSの利用料がゼロ円という顧客もあります。
なので担当と言っても、1年に一度顔を合わせるか合わせないかといった感じになります。
大企業の担当になると、担当数は片手で収まるぐらいになります。
その代わり、かなりその顧客と親密な関係を築くことになります。(つまり、しょっちゅう Slack が飛んできます)
ソリューションアーキテクトは、基本的に昼間は顧客とミーティングをしたり、客先での勉強会を行います。
客先での勉強会のことをオフィスアワーと呼んでいます。
AWSは機能が膨大で、新サービスが続々と出てくるので 一人のソリューションアーキテクトがお客様の質問にすべて答えられるわけではありません。
なので夕方以降にお客様の質問を調査して次の日に回答するという流れになります。
この調査で毎日深夜まで仕事をしているソリューションアーキテクトはたくさんいます。
しかも、そんなハードなスケジュールの中、いち早く最新情報をキャッチアップしてお客様に説明しなければいけないのもソリューションアーキテクトです。
AWSの中では一番の働き者(= ハードな職種)です。
トレーニング
AWSのトレーニングは、基本的に米国で作られた内容を翻訳して日本で実施しています。
それを覚えて、説明できるようになるのが基本的な仕事です。
ただ実際に講師として説明するためには、トレーニングの内容以上の知識が必要です。
お客様に説明したり、質問に答えるには講義の内容を暗記するだけでは足りないからです。
また、そのトレーニングの内容もたくさんの種類がありますし、定期的に更新されているのでキャッチアップが重要になります。
また、トレーニング後のお客様の評価は、トレーナーの評価にかなり影響しています。
AWSのトレーニングは結構高いので、ただ単に教材の説明をするだけでは一定以上の評価をもらうことは難しくなります。
ですので、トレーニングを受けに来たお客様から良い評価をもらえるような工夫が必要になってきます。
トレーナーが独自コンテンツを入れたり、休憩時間も質問に答えたり、いろいろな手法でお客様の満足度が上がるように工夫しています。
プレミアムサポート
プレミアムサポートは、日本のAWSの中では一番技術的な知識が要求される仕事です。
なぜなら、お客様のトラブルを解決するには、AWSの使い方はもちろんAWSの内部構造も理解していなければいけないからです。
例えば、それぞれのロードバランサはどのOSSがベースになっているとか、RDSはどのようなシステム構成になっているか?など深い知識が必要になります。
それだけ深い知識が身につくので、技術的には一番おもしろい仕事とも言えます。
ただし、評価に関してはシビアです。
月に何件ケースを消化できたか?とか、平均で星がいくつもらえたか?など数値で管理されています。
あと、勤務時間にシフトがあるのもプレミアムサポートだけですね。
サポートケースの星は、いつも5つ付けてもらえると嬉しいです w
テクニカルアカウントマネージャ
お客様が一番高いサポートプランに申し込むと、テクニカルアカウントマネージャがお客様担当のエンジニアとしてアサインされます。
マネージャとついてますが管理職という意味ではありません。あくまでもテクニカルなアカウントマネージャ = 技術的な顧客担当という意味です。
一人のテクニカルアカウントマネージャにつき、通常は2社か3社ぐらいが担当になります。
平常時はサポートケースのフォローや、コスト最適化などをしつつ、月一程度でお客さんとMTGをします。
ただし、お客様のシステムでクリティカルな障害が発生すると、テクニカルアカウントマネージャがページャーで呼び出されます。
アップセルのノルマなどはないので数字に追われることはありません。
お客様のクレーム担当という意味合いが強い仕事です。
AWSで働いているエンジニアの特徴
また、職種が違えども AWSエンジニアの中で共通している考え方や仕事の仕方もあります。
ここではそういったどこの部署でも重要になる考え方や、よく使われるキーワードを紹介します。
カスタマーオブセッション
はい、いきなり聞き慣れない単語がでてきましたね。これは直訳すると「顧客への執着」といった感じでしょうか?
AWSでは顧客の満足をすごく重視していて、こういう単語で表現しています。
これはOLP(Our Leadership Principles)というAWSが大事にしている考え方のうちの一つです。
一般的な用語でいうと、会社のバリューとか社訓みたいなものです。
面接の質問もこれがベースになっていますし、社内評価もこれがベースになっています。
社内でも意識高い人達は「これはカスタマーオブセッションじゃないね」とか「カスタマーオブセッションの観点で判断すると・・・」などと発言しています。
ちなみに、AWSは他社に比べると意識高い系の人たちの割合がめちゃめちゃ高い印象です。
AWSへの入社は「OLPを経典とした宗教に入る」と言っても過言ではありません。
IC
これはIndividual Contributorの略です。
まあ、一般社員という意味合いもあるんですが「あえてマネージャ職の道に進まずスペシャリストとして会社に貢献している人」という意味で使う事が多いです。
なかには「個人商店」と形容する人もいます。
AWSでは「チームでプロジェクトを進めて成果を出す」という考え方より「個人で成果を出す」という考え方が強いと思います。
これはもしかしたら外資系企業の日本支社では共通する特徴かもしれません。
アカウントチーム
ICとは言いつつもチームプレーは存在します。
それは、同一の顧客が担当とする複数部署からなるチームです。
通常はセールス(AWSではアカウントマネージャと言う)とソリューションアーキテクトがチームになります。
担当顧客によって、アカウントマネージャとソリューションアーキテクトの組み合わせは変わるので、顧客によってアカウントチームの組み合わせは変わります。
顧客がエンタープライズサポート契約に入っている場合は、ここにテクニカルアカウントマネージャも加わります。
アカウントチームが協力してお客様の満足度を上げたり、新しいサービスの利用をサポートしたりするので、チーム内での一体感が産まれます。
通常は同じ職種の同僚よりも、アカウントチームで仕事をする事の方が多いです。
英語
英語に関しては、実際のところそこまで使う機会は多くありません。
ただ、米国のエンジニアとやり取りする場合は使いますし、社内資料などは多くが英語なので、英語が得意なほうが圧倒的に仕事が有利になります。
期待値調整
これはAWSで非常に良く使われる単語です。
基本的にお客様が相手の商売ですし、クラウドの使い方はオンプレとは考え方が異なるので、それをお客様にも理解してもらう必要があります。
そのために「お客様の期待値を予め調整しておかないと、あとからトラブルよ」というときに良く使います。
AWSの資格の勉強をすると一番最初に出てくるのが「責任共有モデル」ですよね?
AWSを学ぶ一番最初のステップでシステムの責任分界点を明確にして、AWSとお客様の責任範囲を明確にする。
まずは期待値調整から始めるというAWS式が現れている部分だと思います。
ジャスティフィケーション
これもAWS内部で良く使われている単語です。
意味としては「正当性」「正当な理由づけ」といった感じで使ってます。
基本的に日本のエンジニアは顧客対応がメインなので、カスタマーオブセッションの観点で顧客対応をすると、本国のエンジニアや支払い担当に依頼する事が多くなります。
例えば、「お客様が困っているからこのサポートケースの優先度を上げてくれ」とか「AWSの問題で不要なインフラコストが発生したから払い戻しをしたい」と言った場合です。
ただ本国の担当もIndividual Contributorなので、割り込みタスクをやらせるには、それなりの理由付けが必要です。
そのために重要なのがジャスティフィケーションです。
これが論理的にできないと社内の調整ができません。
ジャスティフィケーションの例としては、
「お客様が使っているRDSのインスタンスでメンテナンスが発生することになった。その期間はお客様が新しいキャンペーンを始める予定だ。そのキャンペーンには大きな投資がされておりいまさら予定が変更できない。だから該当のRDSインスタンスのメンテナンスを変更してほしい」
といった感じです。
ただ、私の経験から AWSは他の企業とくらべて かなり米国との連携がやりやすい企業だと思います。
英語がカタコトでもちゃんとこっちの話を聞いてくれるし、ちゃんとジャスティフィケーションができれば感情論とかいままでの慣習とか面倒くさい事を言わずに協力してくれます。
AWSに転職するにはどうしたら良い?
いままでAWSでの働きかたを紹介してきました。
正直、僕が働いてきた企業の中では、一番優秀な社員が集まってる企業だと思います。
そんなAWSへの転職に興味がある方もいらっしゃると思います。
ここではAWSに転職する方法を紹介してみたいと思います。
転職対策
この記事では、僕がAWSに転職するためにやったことをまとめています。
一般的な転職対策も書いてありますが、AWS独自に対策が必要な部分もありますので、是非参考にしてください。
その中でも特に重要なのが面接対策です。AWSは独自な面接を行っていることで有名です。
AWSの面接対策に有益な情報をまとめましたので参考にしてください。
AWS の面接対策に使える「Amazon Career Day」の紹介
おすすめの転職エージェント
オススメの転職エージェントをまとめましたので参考にしてください。
【おすすめ】AWS転職に本当に役に立つ転職サイトと転職エージェント
まとめ
今日はAWSで働くエンジニアがどういった仕事をしているか?という事について書いてきました。
なんとなくAWSエンジニアの仕事をイメージいただけたでしょうか?
このブログでは他にもこんな記事を書いていますので、よろしければ見ていってください。
【エンジニア向け】IT・WEB・ゲーム業界で転職5回の経験からオススメできる転職サイトと転職エージェント