はじめに
AWSと楽天は、両方ともECのサービスをやっていて、創業社長が独自の社内カルチャーを作っているという点で共通点がいくつかあります、一方 日系の企業と外資系企業という点で 異なる部分もたくさんあります。今日は、そんな2社のカルチャーを実際に働いてみた経験から比較してみたいと思います。
組織ビジョンの浸透度合い
AWS:
楽天:
それぞれ会社の組織ビジョンがあります。
Amazonでは「Our Leadership Principles」というものがあり、社内ではOLP(オーエルピー)と呼ばれています。
社内でもかなり浸透しており、採用面接の質問項目から、人事評価までこれで統一されています。ちなみにAmazonでもAWSでも同じです。
また、一番重要なOLPは Customer Obsession と定義されており、お客様の視点に立って行動する事が何よりも重要とされており、日々の仕事でもこの点を重視しています。
正直、ちょっとした宗教のような雰囲気もあり、最初は引いていました。
日本企業のよくある社訓との違いは、この組織ビジョンによって組織や仕事が合理的に運用されているという部分です。
日本の企業だから Customer Obsession のために「お客様のためになんでもやれ」となりそうですが、AWSの場合は「これは Customer Obsession じゃないからやる必要がない」という判断にも結構使われていています。OPLがあるおかげで余計なディスカッションやタスクが少ないと言うのが印象です。
入社当時は引いていたOLPでしたが、実際に働いてみると、
というのが僕の感想です。
一方の楽天ですが、楽天主義・ブランドコンセプト・成功のコンセプト・楽天グループ企業倫理憲章といくつかのものがあります。

ぱっと見て気づくと思いますが、コンセプトが複数あるってのは非常にわかりづらいです。おそらく会社が成長していく過程で、そのファイズに合ったコンセプトや憲章が追加されていったんだと思いますが、正直わかりにくいですし、AWSのOPLのような簡潔さもありません。
また一昔前は、採用試験で社長が書いた成功のコンセプトの本の感想文を提出するという、THE日本企業的な慣習があったそうです(いまは、やってません)。
あと、評価制度も建前上は成功のコンセプトに基づいて評価する事になっていますが、すくなくとも僕が働いていた部署では、ちゃんと運用されていませんでした。
楽天の組織ビジョンは、
というのが僕の印象です。
体育会系度
AWS:
楽天:
AWSは、おそらく外資系にしては体育会系要素がある方だと思いますが、僕はそんなに気になりませんでした。
一方、楽天は(以前ほどではありませんが)いまだに体育会系の文化が残っています。
ある日、グループ企業内で「楽天モバイル紹介キャンペーン」というものが始まりました。知り合いに楽天モバイルを紹介すると、楽天ポイントがもらえるというグループ社員限定のキャンペーンです。
僕は、あんまり人に自社製品を押し付けるのは好きじゃないので スルーしておいたんですが・・・。社内でキャンペーンの連絡があってから数週間すると、全社員の名前と契約数が書かれたスプレッドシートが全社に公開されました。
僕は、この時点でもまだスルーしてたんですが・・・。しばらくすると、契約ゼロのエンジニアには、マネージャから直接コンタクトがあって「なんでゼロなの?」という声掛けが始まりました。
僕は大急ぎで妻の名前で契約をして事なきを得ました。
ちなみに、これはあくまでも一例です。
マイクロマネージメントかどうか?
AWS:
楽天:
AWSではマイクロマネージメントするマネージャはだいたい現場から反発を受けてましたね。やっぱりこのあたりは外資系です。
ただし、評価の下位数%は首切り対象という制度があり(実際には、そこまで運用されてたりされてなかったりですが)そのおかげで、ほっておいても現場が頑張るという部分はあると思います。
楽天の場合は、会社の上層部がマイクロマネージメント好きなので、役職が上がれば上がるほどマイクロマネージメントになっていきます。
コミュニケーションはViberというチャットツールが使われており、ある程度の役職になると深夜とか土日関係なくメッセージが飛んできます。
働く裁量
AWS:
楽天:
これも外資と日本企業の差が出てますね。
AWSは基本的に個人が裁量を持って仕事をするのが基本です。IC(Individual Contributor)といって個人で実績を出す事を強く意識しています(アイシーと読みます)。
そのために実績がでなければマネージャから問いつめられますし、評価が下がります。一方で実績さえ出せていれば仕事のやり方は個人の自由です。自分で自分の仕事を切り開けるタイプは楽しく仕事ができますが、マニュアルがないと仕事が進められないタイプは正直厳しいです。
楽天の場合は、完全に分業制度になっています。個人のスキルを活かすことよりも、組織の中のタスクをこなす事が求められます。なので、まずは周りに合わせて仕事をする事が必要になります。個性よりもチームワークが求められる、非常に日本企業的な文化だと言えます。
英語利用頻度
AWS:
楽天:
以外かもしれませんが、日本のAWSで日常的に英語を使うエンジニアはほんの一部です。もちろん上司がノンジャパニーズだったり、USのエンジニアとコミュニケーションするときは英語を使いますが、日本で働いている限りお客さんは日本人なので日本語での仕事がメインになります。
一方、楽天の場合、エンジニアチームの半分がノンジャパニーズという事は珍しくありません。ですので、ドキュメントもミーティングも英語が標準です。あと毎週月曜日のAM8:00から行われる全社員出席必須の全社会もオール英語です。
ただし、欧米圏のエンジニアはそんなに多くないので、ネイティブ英語スピーカーは実は少ないです。日本人は日本語英語って感じの英語が多いですね。英語の練習にはすごく良い環境だと思います。
働く環境
AWS:
楽天:
AWSはコロナ禍の前から、フルフレックスでフルリモートOKでした。
ただし、基本的にはお客さんに合わせて仕事をするので、客先でのMTGとか、お客様のイベントに合わせて土日出社とかは多かったです。
また、USのエンジニアとコミュニケーションが必要な場合は、深夜1時とか朝6時からにチャットで連絡する事もあります。さらにUSの金曜日は、日本の土曜日なので 土曜日の午前中にMTGも良くありました。
その点楽天は平日昼間だけ働いていれば良いので楽ですね。ただしフレックスはありませんし、コロナ禍がおさまったら、たぶんフル出社に戻ると思います。
これは、どちらが良いかは好み次第ですね。
まとめ
それぞれの会社を一言で表すと
一方、



