はじめに
今日は「エンジニアリングマネージャ(EM)の転職先(その1)」という内容で書いていきます。
エンジニアがマネージャになると、そこそこ技術に関わって、そこそこ人のマネージメントしてって感じで、自分のストロングポイントが見えにくくなってくると思います。でも、以外とそういう経験が必要になる仕事は世の中に沢山あります。
今回ターゲットにしているのは、以下のような役割をこなしている人を対象としています。
- 技術マネージメント
- (小規模でも)システムのアーキテクチャを決定している。
- 開発するシステムの見積やスケジュール作成を行っている。
- プロジェクトの進捗管理を行っている。
- 部下のコードレビューをしている。
- ピープルマネージメント
- 部下の評価を行っている。
- 部下の教育を行っている。
- 採用面接を行っている。
ここでは、上記のうち3つ以上該当している人をEM と呼ぶ事にします。
現在の会社で、このような仕事をしている人は結構多いと思います。僕自身も上記の EM として働いていたことは何度もあります。
最近では、技術マネージメント要素が多いポジションを「テックリード」、ピープルマネージメント要素が多いポジションを(エンジニアリングマネージャ(EM))として、役職を分離している会社もあります。ここでは日本の企業としては一般的な、両方の役割をまとめてエンジニアリングマネージャ(EM)と定義します。
今日は、こういった人が転職する際に、どんな選択肢があるのか書いていこうと思います。
エンジニアリングマネージャ(EM)
まずは、引き続きEM として働くという選択肢が一番多いのではないかと思います。いままでの経験を生かしてより良い条件の会社に転職するというのが一番確実な転職だと思います。
メリット
- ピープルマネージメントやプロジェクト管理に関しては、いままでの経験が生かせる。
- 給料も維持しやすい。
デメリット
- 会社によって技術マネージメント中心だったり、ピープルマネージメントが中心だったりするので、いままでの経験が生かせない可能性がある。
- 転職先にマネージャとして採用された場合、現場のエンジニアよりシステムが分かっていない状態でマネージメントする必要が出て来る。
EM の役割は、会社によって割と異なってくるので、自分が活躍できる環境かどうか、見極める必要が出てきます。
たとえば、転職前はバリバリのウォーターフォール開発でレガシーなアーキテクチャ中心の環境で働いていた場合、転職先がアジャイルな開発手法で最新技術を使っての開発環境の場合、かなり EM に要求される事は違ってきます。
また、自社開発中心の会社と、SIやSESの会社間で転職する場合も EM の役割はかなり違ってきます。
この辺りの見極めが重要になってきます。
現場のエンジニア
これは、マネージャから現場のエンジニアに戻るというパターンです。
メリット
- 開発自体が好きな場合、好きな仕事に集中できる。
- 自分に得意な技術領域がある場合(アプリ開発や、マシンラーニング等)その領域のスペシャリストになれる。
- ピープルマネージメントやプロジェクトマネージメントをやらなくて済む。
- 転職先の技術スタックの経験が積める。
デメリット
- 給料が下る可能性が高い。
- ピープルマネージメントやプロジェクトマネージメントから離れる事になる。
実は、私もこのパターンで転職した事があります。ベンチャーからヤフーに転職した際に、一度現場のエンジニアに戻りました。
もちろん給料は下がりましたが、ヤフーの技術スタックをちゃんと理解できたのが良かったと思っています。で、数年後にはマネージャを任されたので、結果的に給料も上げる事ができました。
マネージャとして転職するにしても、まずは現場の知識があった方が良いので、そのまま現場のエンジニアを続けるにしても、マネージャになるにしても 知識や経験を積むという意味では良い選択肢かもしれません。
テックリード(TL)
技術マネージメントの知識を生かして、TLとして転職するという選択肢もあります。いわゆるアーキテクトとしてのポジションですね。
メリット
- 技術マネージメントに関して、いままでの経験が生かせる。
- 給料も維持しやすい。
デメリット
- 自分が得意な技術領域で TL としてスキルを発揮できる転職先を探す必要がある。
- TL を募集している会社は、そんなに多くない。
ピープルマネージメントよりも、技術マネージメントが得意な方向けです。ただし、EMと TL が分離している会社は、そこまで多くないので、EMや現場エンジニアの転職先を探しつつ、TLの求人も探すのが良いと思います。
プロジェクトマネージャ (PJM)
PJM は一般的にプロジェクト全体の進行管理に責任を負う仕事です。技術的な知識も求められるし、複数組織を管理することが多いので、コミュニケーション力や調整力が求められます。
メリット
- 経験があるPJMは、比較的給料が高い。
- テクニカルマネージメントやピープルマネージメントをやらなくて済む。
デメリット
- プロジェクトの責任を負う事になるので、会社の上層部やビジネス部門からのプレッシャーは高い。
- 部下ではない関係者のマネージメントが中心なので、評価や採用はやらなくて済むが、コミュニケーション能力は求められる。
プロジェクトを仕切るのが好きな方には向いているポジションです。技術や人事評価よりも、プロジェクトを進める事にやり甲斐を感じる方にはオススメです。
プロダクトマネージャ (PdM)
PJMと言葉は似ていますが、正確には別の役割です。PdM はスモールCEOと呼ばれる場合もあります。プロダクト全般に責任を負う仕事です。PJMは決まったプロダクトをもたず、様々な新規開発案件を渡り歩く場合もありますが、PdMは担当のプロダクトを持ちます。そのプロダクトに間して、ビジネス、マーケティング、サポート、開発等すべての責任を負うのが PdM です。
メリット
- プロダクト全体を管理できる。
- ビジネス的に成功すれば、給料に繁栄される可能性が高い。
デメリット
- エンジニアからPdMに転向した場合、ビジネス(プロダクトのP/L管理)や企画面(ワイヤーフレームの作成等)の知識が必要になる。
- 必ずしも技術スキルが活かせる仕事ではない。
外資企業だと、エンジニアから PdM というキャリアパスがあります(及川卓也さん等)。AWSでもそういった方を何人か見ました。僕自身も EM として転職活動をしていて PdM としてのオファーをもらった事もあります。エンジニアの仕事だけでなく、ビジネスも勉強して、より広い領域で活躍したいという方にはオススメです。
その他の選択肢
その他にも沢山の選択肢があります。この記事の続編も書いていますので、よろしければそちらもご覧になってください。
コンサルやベンダーのソリューションアーキテクト等への転職に関してかいています。
まとめ
今日は「エンジニアリングマネージャ(EM)の転職先(その1)」という内容で書いてみました。
その他にもまだまだ選択肢はありますので、続編も書いていく予定です。
僕のブログでは、こんな記事も書いてます。よろしければ見ていってください。
それでは、また!!!